毎年夏が近づくにつれて気になりだすこと、それは肌のテカリと毛穴が目立つことです。
十代、二十代の頃の私は自分のことをオイリースキンだとずっと信じてきました。
汗の季節になると顔がテカッてしまうことは、当時の悩みのひとつでしたが、三十代中頃になるとテカリはTゾーンだけになりました。
そして化粧品売場の人から、初めて「Tゾーンはオイリーですが残りの部分はドライですから、コンビネーションスキン(混合肌)ですね」と言われたときは面食らってしまったものです。
同じ顔なのにいくつもの種類のお化粧品が必要なことに疑問をもちながらも、それ以来、ドライな部分は水分補給のためのお化粧を、Tゾーンはテカリ防止のためにさっぱり系のものをと、使い分けるようになりました。
今になって思えば、テカリはいわば若さの象徴だったともいえるでしょう。

あぶらとり紙でテカリを解消

テカリといえば、パリに留学する前の年、大学主催のヨーロッパ旅行に参加したときのことが思い出されます。
いつも一緒に行動していた台湾人のお友達、スザンヌ・ウェイ|彼女はほとんどお化粧をしていませんでしたが、服や髪はいつも清潔にしていて、いかにも上品なお嬢さんといった感じの人でした。
そんな彼女の印象的な思い出のひとつが「あぶら取り紙」です。
その夏の旅は、ベルギーを皮切りにフランス、イタリア、ギリシャ、ドイツと、暑いさなかを二カ月半かけて回ったのでかなり大変でした。
その間ずっと、彼女はことあるごとにあぶら取り紙をとり出しては額と鼻の頭を押さえていたのです。
四六時中行動をともにしていた旅の終わりには、気がつけば私も彼女からあぶら取り紙をたくさん頂戴していたという次第。
彼女の習慣が私に乗り移ってしまったのです。以来、あぶら取り紙を見るたびに彼女の光った鼻の頭を思い出すんです。

あのころ、スザンヌや私の毛穴が開いていたのはまだ鼻の頭のみだったように思います。
しかし四十代になると、その範囲が次第に拡大してきているように感じずにはいられません。
パリで購入した八倍の拡大鏡で、毎日自分の肌を眺めながら「こんなに毛穴のひとつひとつが大きくなれば、皮膚がたるんで顔全体が下がり気味になったり、シワがでてきたりしてもあたりまえなんだわ」と、思わずひとり言を言ってしまうのです。
幸い脂が浮いたりテカリが出たりすることに対しては、高度技術(ハイテクノロジー)の甲斐あって、今日の女性は優れた化粧品に恵まれてとても幸福だと思います。
数年前からいくつもの化粧品メーカーからテカリをなくす下地ローションやファンデーションなどが次々に出ています。
けれども毛穴が目立つことや、毛穴が開いて汗が出ることを根本から改善する対策にはあまり進歩がないようです。
汗が出なくては、解毒作用もままならなくなり、反対に健康を害すことにもなりますし……。

大事なのはお肌だけじゃない!

お肌ばかりに気を取られてはいけません。意外と気づかれているのが口の臭い。特に口の中が乾燥したときは酷い口臭が…。口臭対策に一番良いのはブレッシュと言うサプリです。毎日このサプリを飲むだけで口臭がみるみる無臭へ。

人工の皮膚

六年前、パリのロレアル本社を取材したとき、研究室の小さな器械のなかに作られたばかりの人工の皮膚を見ました。
毛穴対策にしても、ハイテクの産物としての化粧品がそろそろ出てもいいのではとも思うのですが、よくよく考えてみると毛穴を完全にふさいだり、なくしたりしてしまったら皮膚呼吸もできなくなるでしょう。
人間の体の働きは実によくできていて、決して科学の力が及ばない部分があるのです。
毛穴を完全になくすことはできないにしても、目立ってしまうのはやはり困りものです。
肌が健全な皮膚呼吸をしつつ、毛穴を引き締めてくれる化粧品はないものかと今年も夏を前にして思っていた矢先、明るい情報が届いたのはごく最近のことでした。

それは、ある雑誌のお仕事で久しぶりにご一緒したヘアーメイクアップ・アーティストの長綱志津子さんに教えてもらったものです。
長綱さんには、これまでも何度か雑誌でヘアースタイルやメイクアップを担当していただいてきました。
たまたまお目にかかった折にダイレクトに毛穴の悩みをぶつけてみたところ、紹介してくださったのが、純度の高いエッセンシャルオイルとそれをベースにした英国の製品でした。
それを夜の肌のお手入れの際に用いるのです。
この化粧品「アロマセラピー」を開発した英国はいち早くエッセンシャルオイルを医療の領域にまで取り入れた国(オイルの原産国は世界中に散らばっています)。
さっそく夜、いつものようにクレンジングをしたあと、試してみました。

まず、化粧水をつけたらバランススキンコンディショニングジェルをつけ、フェイスオイルを塗って軽くマッサージして、その上からバランスディープクレンズフェイスマスクを薄く塗ってから洗い流す。
このステップを、毛穴が開き気味になったとき普段の肌の手入れに加えると、引きしめ効果が抜群なのです。
ここで、またしても植物の力が、肌の悩みを解決してくれました。
おかげでしばらくすると、私の鼻の頭はツルツルになり毛穴がキュッと引きしまってきたのです。
そのうえこのお手入れでは、ラベンダーとイランイランのエッセンシャルオイルの香りで、心身ともにとてもリラックスできるのです。
良い香りを嗅ぐと、「幸福になる」せいでしょうか。自然と表情まで和らぐ気がします。

ところで話題は変わりますが、最近、銀座から乗ったタクシーの運転手さんが、興味深いことを話し始めました。
「私も女房も、晩年は東京から離れて、花でも丹精しながら暮らせる場所に移り住みたいと思うんですよ」と。
バックミラーに映し出された運転手さんは、「花が好き」というセリフが出てくるとは想像だにできないような感じの方です。
そのとき、「男性も花が大好きなんだ」と思ったのです。
そういえば息子の知り合いのお父上も最近はガーデニングに凝り始めたとのこと。映画『ラストエンペラー』のスクリーンで見た溥儀も、晩年は庭の花の手入れをすることが唯一の楽しみだったというし…。
最終的に人間が帰結していくところは、花や植物などの自然なのでしょうか。
現代に生きる私たち女性は、ハイテクの進歩による恩恵を受ける一方で、常に原点に戻って、人間の体の本来の仕組みを人工的に破壊することを避けなければならないと改めて思います。
だからこそ、自然の持つ力を無視しないで取り入れることが大切なのではないでしょうか。
もうひとつ、鼻の頭の毛穴を緊急に引きしめるときのために良いのがトレジャーの「ACスポッツ」という小さなチューブです。
これを鼻の頭に薄く塗って寝て翌朝にはがすだけで、感動するほど肌が滑らかになります。急ぎの朝の心強い味方になってくれるでしょう。
いくら美しく着飾っても、案外、外からの視線は鼻の頭を見逃しはしないものなのです。